まじめな陶芸の話

陶芸ブログなのにおちゃらけた話ばかり書いていて、真面目に陶芸の話なんて全くしない「陶芸春秋」なのであります。

まあ、たまには真面目な?陶芸の話でもしましょう。

私も来月には59歳になってしまう訳で・・・

そうなると当然ながら私が若い頃に第一線で活躍されていた陶芸家もお亡くなりになる方続出で・・・

好きな作家の栗木達介氏や和田守卑良氏など。

そして先日ついにお亡くなりになられた鯉江良二氏がいます。

私が陶芸を始めた頃にはすでに超有名作家であられたので、氏の作品の図録を見ては・・・「ふむふむ・・こういうのが良い作品なのか!」と無条件で納得していました。

そういう感じ方をしている若い陶芸作家も当時は沢山いたんだろう・・・どこか鯉江良二風な作品を制作している作家も大勢いたような気がします。

兎にも角にも、氏は陶芸界のインフルエンサーであった事は間違いなく、勢いのある作家でした。

陶芸雑誌にもインタビュー記事があちらこちらに載っていてその中に・・・

「公募展なんて小天狗をつくるだけのもので、百害あって一利なし」みたいな発言をされていたのに大きなショックを受けたのを覚えています。

当時、私は自分の作品の発表の場を公募展に求めていたものですんで、かなりショックだったのでこのインタビューの内容が頭にこびりついていたんです。

・・・っていうか今でもこびりついているんですがね。

それがどっこい・・月日が経ち・・・朝日陶芸展の審査員に氏の名前を見た時のショックはこれまた今でも忘れません。

あれだけ「公募展なんて・・」って言いながらなんで公募展の審査員なんですか???

私は別に氏の悪口を書くつもりは毛頭ありませんが、公募展トラウマというか、心の中になんとも煮えないものを抱えてしまったのは事実です。

当然ながら人間の思想や発言は時間が経過すれば変わる事もあるだろうけど・・・

どうも納得がいかない状態が今もなお続いているのでした。

公募展で賞を取ってふんぞり返る・・・なんて事はもう大昔の事。

今は価値観の多様化でそんなに公募展に権威は昔ほどないです。

しかしながら、公募展が百害あって一利なしって事では全くありません。

確かに結果に対して納得のいかない事などもありますが、公募展の最大のメリットは公募展に「挑戦する」という行為そのものなんです。

別に喧嘩をする訳ではありませんが、入落がある以上・・・それは他流試合みたいなものです。

そのために自分の作品を徹底的に分析し、レベルを少しでもあげる。

その行為がそれぞれのレベル向上にすごく役に立ってるんだな、これが。

公募展なんて無意味なので出品しない・・・っていうのは簡単だけど、それは公募展に果敢に挑戦してきた人だけが言えるセリフであります。

陶芸家の作品って公募展に幾度となく挑戦してきた人のと、そうでない人の作品って全然違う事に気がつく人は少ないと思うけど・・・公募展でかなり鍛えられた作品っていうのはある程度陶芸を見る目がある人が見れば一発でわかる。

公募展に何回も出して無名な作家もいるし、公募展なんて出さなくても有名な作家もいるが・・・今、私が言っている事はそういう事ではないのであしからず。

・・・とここまで書いておきながら、公募展に出そうが出そまいが・・・個人の自由でど〜でも良い事なのですが、出品しようとする心意気や意欲は大いに評価できるものだと思う。

この秋、某市の美術展の審査員をする事になったこの私ですが、出品作の中から声なき声を、姿なき情熱を出来るだけ感じとって審査に当たろうと思っています。

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