一つの時代が終わった (中)

百貨店の勢いはいつの間にか無くなっていきました。

郊外に大駐車場を完備したショッピングモールが乱立し、人々はいつの間にか百貨店に行かなくなってました。

かく言う私も・・・自分が個展を開く時以外は百貨店に足を運んでいない事に気がつきました。

自分の事を棚に上げ、「美術画廊のお客様が少なくなったな〜!」なんて個展期間中に言ってる自分がいました。

ただ私の中には美術にどれだけ力を入れているかで、百貨店の「志」の違いを感じていました。

丸栄百貨店はかつて画廊は二つあり、ギャラリーがあり、伝統系の作品発表の場があり、通路にもアートスペースがあり・・・

朝日陶芸展を始め、東海伝統工芸展、巨匠作家の催事等・・・名古屋栄地区の芸術情報発信基地でした。

文化的な事に力を入れていた百貨店でした。

写真は丸栄ができた当初の写真。なんと昭和31年らしいです。

しかしながら、人々の百貨店離れを止める事はできません。

誰が悪いワケでもありません。大きな時代の流れです。

百貨店の美術画廊がどんどんと無くなっている昨今・・・

私みたいに百貨店での個展を目標にやってきた陶芸家は一抹の寂しさと虚しさを感じざるを得ません。

しかし、それは昔の陶芸家なのでしょう。

昨今の陶芸家やクリエーターは初めから「百貨店」での作品発表など頭にはありません。

そもそも、百貨店での個展は誰でもできるっていうほどハードルは低くありません。

ある程度の実力があり、経歴があり、作品にもそこそこの完成度が求められ、しかも「売り上げる」という大きな課題もクリアしないといけません。

もう・・若い作家達はそういう事はぶっ飛ばして、もっと自由に楽しくやっていきたい・・・という風になってきました。

経歴を作るって言っても昔ほど陶芸公募展が乱立していた時代ではありませんし、もう公募展での賞に全く価値を求めなくなってしまってます。

日展や伝統工芸展など権威ある公募展も、一部の人にはありがたがられる存在であるけれども、それ以外の人にとってみれば、まったくどうでも良い事で、そこへの入選、入賞など何の価値も見出さないでしょう。

時代は流れ、価値観も大きく変化し続け・・・

百貨店の衰退とともに陶芸作家のあり方も変わっていきます。

続く。

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